2019年度上肢集中セミナー

 

講師:竹林崇先生(大阪府立大学 地域保健学域 総合

   リハビリテーション学類 作業療法学専攻 准教授)

 

時間:各回 19:00~20:30

受講料:各回 1000円

場所:伊丹恒生脳神経外科病院リハビリテーション室

 

 

第1回 7月23日 「CI療法の概論とメカニズム」

第2回 8月6日   「麻痺手に対する量的練習の意味」

第3回 8月20日 「課題指向型アプローチにおける目標設定と報酬の意義」

第4回 9月3日  「課題の選定の実際」

第5回 9月17日 「難易度調整の実際」

第6回 10月1日 「課題作成・難易度調整ワークショップ」

第7回 10月15日 「インタラクションと課題運営」

第8回 10月29日 「対象と効果を拡大する物理療法(1)」 

第9回 11月12日 「対象と効果を拡大する物理療法(2)」

第10回 11月26日 「Transfer Packageの実際」

 

 

「作業療法における自動車運転の実際」 

 

講師:澤田辰徳先生(東京工科大学 准教授)

日にち:令和元年5月13日(月)

 

 

 

 

 

 

 

 

自動車運転に対する評価(机上検査・シュミレーター・実車)と介入(机上課題・シュミレーター)について、1時間という短い時間の中で多岐に渡る知見をご講義頂きました。

 

机上検査ではTMTなどの馴染みのある検査に加え、UFOVVFITSDSAの概要をご紹介頂きました。実車評価がゴールデンスタンダードですが実行は難しいため、机上検査で代用するための研究が進められているとのことでした。

 

シュミレーター評価では、その長所と短所、とくに画面酔いについて紹介されました。

 

実車評価では、汎用されるROAD TESTの限界を紹介され、また、海外の評価方法は日本にそぐわない点もあり日本独自の評価方法が必要であるとのことでした。

 

介入については、机上課題もシュミレーターも今のところ明確な効果は確認されておらず、現状では教習所で実車練習を繰り返すことが一番現実的ではないか、とのことでした。

 

ご講義は自身のご経験や現在進行中の研究内容を交えて進められました。その中で、机上検査は点数だけでなく解答中の質も見る必要がある、カットオフ値だけで判断せずに総合的に評価する必要がある、机上検査で症状が見られない患者さんでも実車では症状が顕れる可能性がある、など臨床で気をつけるべきポイントもご教授頂きました。

 

 

 

~皆様から頂いた質問に澤田先生より回答を頂きましたので以下をご参照下さい~

 

Q:兵庫の明石にある総合リハビリテーションセンターで自動車の実車テストがあるのです  

が、実際に受けようと思うと35ヶ月待ちの予約で、すぐに確認できないことがありま

す。高次脳exや機能exはもちろん行っていますが、検査までに病院で出来る運転支援の

リハビリはありますか。                             A:リハセンターの実車テストは心強いですね。強制力はないので、可否はあくまで公安委員

会の判断になります。(医師の先生の診断書は効果的ですが)。ご提示の、それまでに

できることといえば、シミュレーターがあれば、シミュレーター、なければ停車時実車

評価、つまり停まった車で、乗り降り、据え切りでのハンドルとりまわしやアクセル

ブレーキの踏みかえの速度、シートベルトができるか、ウインカー、ワイパーの操作など 

を確認してもいいかと思います。

 

 

Q:脳損傷で視力低下、記憶・注意障害のある20歳の男性で今後どのような形で交通手段を利用して復職に繋げるか悩んでいます。

A:職業にもよりますが、両眼矯正でも0.7以上必要です。個人的な経験では、記憶障害は場合によって医師と協議してOKになったケースが多い気がします。公共交通手段が利用できる環境であれば、ICカードなどを利用して練習すべきかと思います。

 

 

Q:実車評価の基準や評価のポイント(教習所と連携して)

A:もうすぐ?すでに?全国指定教習所協会連合会が委員会を作り、そこで話し合った結果について指針を出します。そこには運転に詳しい医師、作業療法士と障害者の運転支援に明るい指導員の方々がいらっしゃいます。別件で私も研究していますので、いつか報告できるとは思います。

 

 

Q:実車評価後の検査データの使い方(FBするためには使うと思うのですが…)

A:まず、多方面から見るのも一つかと思います。私は本人さんにもつけてもらい、そのギャップについて話をします。もっとも多いのが、ドライブレコーダーの映像を見ながらFBするものです。危険な箇所を映像を見ながらおさらいするのがいいかと思います。

 

 

Q:脳梗塞後の適性検査でOKが出る基準がわからず、手続きの流れを説明する程度しか介入できていない。退院後すぐに必要な人への介入がもっとしっかりやりたい。

A:公安委員会は、疾患に明るくないので、基本的に通りやすいです。従って、医療機関がしっかりとフォローして、医師の方々の診断書で提案するしかないかと思います。

 

 

Q:道筋を作るシステム作り,教習所との関わり

A:どの検査を採用するかと、教習所は丁寧にアポを取り、相手目線でお願いしていくしか

 ないですね。

 

 

Q:机上検査の限界

A:机上検査には限界があることはすでに多くの知見で言われています。補完的にはシミュレーターや実車になります。ゴールドスタンダードは実車ですが、実車の費用対効果や、工数がかかるという意味合いから、机上評価で予想しようというのが世界的研究の流れです。そのような流れを受けて、みなさんご存知の運転でよく行われる机上評価があります。

 

 

Q:主治医が認識が低い,理解が乏しいので責任が取れないと話し合いにならない。診断書を書いてもらったケースがない。 

A:病院の問題が大きいので難しい問題ですが、勉強会などを開いて、興味を持ってくだ

 さる、運転担当の先生を一人決めるのがいいかと思います。

 

 

Q:自動車運転再開は実車が重要という内容でしたが、実車が可能な場所が少ないという現状に困っています。

A:全国的にそのような状況ですが、昔よりマシにはなっています。教習所も忙しく、やるとしても完全ボランティアですので、謙虚にご協力をお願いするというスタイルがいいと思います。

 

 

「認知症の臨床的理解~根拠に

基づいた評価・アプローチについて

 

講師:田中寛之先生 (大阪府立大学講師・OT)

日程:平成30年12月4日開催

 

臨床での評価で重点を置くべきポイント、分析するときに知っておくべき患者さんの情報、ADL障害にアプローチするときに重要なADL障害の特徴など、教科書的な内容ではなく臨床に役立つ概念を解説下さいました。

 

具体的には、

 

・認知症の重症度毎に注目すべき評価のポイント

 

・ご自身が開発されたライフヒストリーカルテを活用した情報収集の方法

 

・認知症の方のADL障害の質的な特徴

 

MMSEHDS-Rの適応やデメリットを例に、評価バッテリーを使うときの注意点

 

BPSDを考える時の、医療従事者のマインドセットを換える重要性や治療の進め方

 

・レクやアクティビティに乗ってこない方への関わり方の一提案

 

など。

 

認知症の方を前にしたときに使える小手先のテクニックではなく、戦略的に介入するための知識や医療従事者としての心構えをご講義頂きました。

 

 

 

全ての治療行為に言えることですが、認知症の方に対しても、数々の経験をされてきた一個人として尊厳を尊重することと、理論に基づいて冷静に治療戦略を組み立てていくことを

同時に行うことの重要性を再認識させられたご講義でした。

 

 

「子どもたちのできた!を育てる作業療法士の学校訪問~地域と連携した作業療法の展開~」

講師:仲間 知穂 先生(こども相談支援センター ゆいまわる代表)

日程:平成30年8月18日開催

 

 

 

 

  仲間先生は、いわゆる発達障がいと言われる子どもがいたり学級崩壊しているクラスに

対して介入されています。心身機能に由来する問題点はOTとして見付けられるのですが、

そこにすぐには介入しません。まずは担任の先生が届けたい教育を聴き取り、それを達成

する術を考えるそうです。そのときに子ども本人や環境に直接アプローチする代わりに、

子どもやクラスにとって大切な作業にアプローチすることで、子どもや環境が変化していくことを期待するそうです。

 

また、そこには先生だけではなく、生徒本人や親、さらに広げると校長、友達、スクール

カウンセラーなど様々な人が携わっています。仲間先生は他の専門職と対立したことはないそうです。作業療法士が扱うのは生活や作業であり、全ての人が営んでいることなので、様々な専門職がそれぞれの立場でアプローチできるからです。

 

仲間先生はあくまでも作業を扱っており、作業療法士はそれができる唯一の職種であると

強調されていました。作業を扱うので身障、発達、老年などの枠は関係ありません。実際、仲間先生も臨床は回復期病棟の経験だけで発達分野は未経験だそうです。

 

 前半は個別の子どもやクラスへの介入事例を中心に、後半は地域・社会にシステムを構築

するための取り組みを紹介下さりました。そして教育は作業療法士の技能が発揮できる分野であり、一緒に取り組んでくれる仲間を増やしたい、と仰っていました。

 

 作業療法士は作業を扱う唯一の職種であること、社会では作業療法を活かせる分野が多様にあり社会にも求められていること、などはこれまでに何度も耳にしていることですが、それが心から腑に落ち、作業療法士としての役割を果たしていきたいという気持ちを鼓舞させられるご講義でした。

 

 

「信念対立解明アプローチ~実践編~」

講師:京極 真 先生 (吉備国際大学 准教授)

日程:平成30年3月30日開催

 昨年の理論編を踏まえ、今回は実践編をお話頂きました。

 職場でたとえ孤立無援になっても生き残っていくにはどうすればいいのか、そこから先生はこの信念対立解明アプローチを開発されました。

 医療と教育分野はストレスフルな二大業界だそうです。また、もめごとが多い医療現場では患者さんの死亡率が上がり、職員の健康状態は低下するそうです。

 そのような環境で、医療従事者が心身を病むことなく働き続けるにはどうしたらいいのかお話し下さいました。まずは頭を冷やすということが大切で、それに活用できるマインドフルネスの長所・短所、ポジティブ感情の持ち方、視点を変えることの大切さ、を説明頂きました。

 また、影響の輪をチームに広げ、チーム内での問題を回避する方法をお話し下さいました。対立が起こったときに取りがちなコミュニケーションパターンを説明頂き、「状況」「目的」「方法」の分析と共有をいかになすべきかを説明頂きました。

 時間に追われている医療現場では、わかってはいるけどそれに割く時間がない、という切実な課題にも言及され、時間的余裕を作る方法もご提案頂きました。

 今回も理論的なお話以上に具体例やアクティビティを取り入れながらご講義下さり、自分の臨床や他職種とのコミュニケーションのあり方を見つめ直す道筋を明示頂いた、とても有意義な勉強会でした。

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「脳損傷による道具使用障害の臨床的理解」

講師:花田 恵介 先生 (村田病院 作業療法士)

日程:平成29年12月8日開催

 いわゆる失行や失認が起こる理由を、局在と症状を11で結びつけて終わりではなく、大脳ネットワークの観点から捉えるために必要な知識と考え方をご教授下さいました。

 道具を使用するまでに脳内で行われていることを「道具を認識する」→「手を伸ばす・つかむ」→「ものを操作する」→「道具を使う」にわけて、また、それぞれが障害されたときに起こる、視覚性失認、視覚性運動失調、肢節運動失行、観念失行について一つずつ解説下さいました。一つずつについて脳内の情報処理の流れ、関連している脳部位の位置関係、それらを基になぜ失行症状が起こるかの推論、実際の症例の脳画像と症状の動画をお示し下さりました。また、臨床ではついつい見逃しがちな消去現象についても解説くださいました。

 最後に、できる/できないではなく質を評価する、そもそもの麻痺や感覚障害がないかきちんと評価する、など症状を捉えるときの留意点を列挙頂きました。

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MTDLPの実践的な使い方 ~具体的な事例を通して~

講師:大庭潤平先生(神戸学院大学 総合リハビリテーション学部 作業療法学科 准教授)

平成29616日開催

 

 生活行為向上マネジメントの概要をご説明頂き、その中で対象者を心身機能だけでなく人生の連続性、生活の広がりのある生活者として捉える重要性をご説明頂きました。OT介入を通して、対象者にご自身で生活を切り開いてゆく術を身につけて頂くことがOTの醍醐味の一つであると言われていました。

 OTを取り巻く社会情勢の変化と、ICIDHからICFへの移行や「作業の手段的利用」から「作業の目的的利用」への変化などOT自体の変化に触れられました。これらの変化をうけて生活行為向上マネジメント開発や日本作業療法士協会による作業療法の定義改訂がなされています。OTに求められている専門職としての役割を社会や厚労省に問われていると仰られていました。

 最後に生活行為マネジメントの具体例を先生が担当されている症例を通して説明頂きました。対象者がどのような人生を歩んでこられて今があるのかを知ること、目標の合意をとること、「生活」だけではなくベースとなる身体機能にもしっかりと介入する必要があること、効果が生活全体へ波及する可能性があることを強調されました。

 社会的背景から具体的な使い方まで広範囲に渡る内容をご講義頂き、いちOTとしてどのような役割を果たすべきか、その実践で生活行為向上マネジメントをどのように使いこなしてゆくかご提示頂きました。

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「活動分析アプローチによる脳卒中片麻痺者の臨床像理解と治療展開」

講師:井上慎一先生 作業療法士

    (西市民病院)

    平成28年11月4日 開催

 

 活動分析研究会近畿ブロック長をお招きし、活動分析アプローチについて御講演を頂きました。歴史、基本的な概念、治療介入のイントロダクションについてご説明頂きました。また、足底へ刺激を入れることで立位バランスに効果を波及させるという実技を通して、活動分析アプローチの重要な要素である知覚-運動循環の一例を参加者の方々に実感して頂きました。

  しかし、活動分析アプローチの御講義ではありますが、「治療概念はこれが唯一ではない。様々な概念がある中の一つでしかない」というメッセージを幾度となく強調されていたのが印象的でした。

  六甲山の登山地図を例にとりながら、目的地に至る道は一つではない、地図を鵜呑みにするのではなく自分の五感や頭を使って現地で情報を取り判断しなければならない、などセラピストとして心がけるべき根本的な姿勢を示して頂きました。☜詳しくは写真はクリック!

「伸るか反るか!地域包括ケアとリハビリテーション」

~病院・施設で勤務するセラピス

 トの心構えと可能性~

 

講師:鍛治実先生 作業療法士

    (老健あこう)

    平成28年11月4日 開催

 

 

 

作業療法士として老健あこうに勤められており、認知症サポートなど多方面でご活躍されている鍛治先生をお招きして、昨今話題になっている地域包括ケアシステムでの作業療法士の役割と意義についてお話ししていただきました。鍛治先生が講義の中で強調されていたのは、クライエントの活動と参加に焦点を当てた作業療法の実践の重要性です。講義の中では、鍛治先生が担当された症例を提示していただきましたが、クライエントが望む作業が実際に行われる現場での作業療法の実践を詳細に紹介されていました。クライエントの自宅や野球グランド、作業所などで他の関連職種の方々と集まって、クライエントの作業について協働して考える風景が何度もありました。このように勤めている施設や医療機関の中だけで作業療法を終始するのではなく、クライエントが望む作業を望む場所で達成できるように作業療法を実践していくことが、作業療法士の役割と意義であると思われます。そして、そのためには、時間を確保することが重要です。さらに施設内だけでなく、地域の医療機関や施設、関連職種の方々と関係を構築していくことも重要でしょう。講義では、人と場所、時間の管理や、必要な資源を割り振る能力が、作業に焦点を当てた作業療法の実践を円滑に進めていくために必要であると感じました。☜詳しくは写真はクリック!

 

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平成28年6月10日開催

高次脳機能障害 連続集中講義

第4回 「記憶障害」

講師:井之川真紀先生 言語聴覚士

大阪府立大学大学院 総合リハビリテーション学研究科 臨床支援系領域

前回に引き続き井之川先生をお招きし、高次脳機能障害の1つである記憶障害に対するリハビリテーションについて講義をしていただきました。井之川先生の講義で印象が強かった部分は、記憶障害に対するリハビリテーションは、数年にわたる長期的な介入、そして回復の時期に合わせて適切な介入が必要になる、ということです。そのためには、急性期から、リハビリテーションが安心や安全を与えるものであるという認識を患者さんに持っていただき、リハビリテーションを生活の一部として取り入れ、生活のリズムを作っていくことが大切になります。そして、患者さんがリハビリテーションに対してより積極的に関わることができるような、療法士との関係づくりが必要となります。そのためには、記憶障害以外の高次 脳機能障害や体力の問題、身体機能の問題、ADLの問題、心理面や精神面、患者さんの人生を含めた人となりを把握する必要があることは言うまでもありません。このように、患者さんと療法士との良好な関係といった基盤があるからこそ、記憶障害に対する長期的なリハビリテーションが可能となるのです。今回の講義では、記憶障害に対するリハビリテーションに特化したものではなく、リハビリテーションの基本的で大切な部分を再認識できたと思われます。

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平成28年1月21日開催
平成28年1月21日開催

第六回 「脳卒中後上肢麻痺に対する機能評価」

講師:天野暁先生 兵庫医科大学 作業療法士

 兵庫医科大学病院の作業療法士、天野暁先生をお招きして、脳卒中患者さんの上肢麻痺に対する機能評価の重要性や目的、日本で使用されている評価手段の現状と問題点、世界で主流となっている評価手段について、わかりやすく講義をしていただきました。医療の世界に限らず、検査には、信頼性や妥当性という概念がつきものです。普段の臨床現場で、何気なく簡易上肢機能検査を使用している方々にとっては、信頼性や妥当性という概念がピンとこなかったと思います。それは、日本で使用されている簡易上肢機能検査は、そういった信頼性や妥当性が十分に検討されてきていないまま、多くの医療機関に流通していたからです。一方、世界で主流となっているFugl-Meyer AssessmentAction Research Arm Testなどの評価手段は、信頼性や妥当性が十分に検討されてきています。簡易上肢機能検査が、良い悪いという議論ではなく、患者さんの上肢麻痺の程度を把握し、リハビリテーションの効果を検証、伝達していくためには、信頼性や妥当性が検証された評価手段を使っていくべきだと思いました。本講義では、上肢麻痺の評価に対する日本と世界の現状を理解することができ、普段使用している評価手段をもう一度見直す良い機会になったと思います。リハビリテーションの効果を検証するため、そして日本だけでなく世界にその効果を伝えていくためにも、世界で主流になっている評価手段に目を向けることが重要であると思います。天野先生もお話しされて いましたが、世界で主流となっている評価手段にも限界があります。今後は、上肢麻痺に対する新たな評価手段のさらなる検討も必要であると思われました。☜詳しくは写真はクリック!

平成27年11月7日開催
平成27年11月7日開催

第二回特別講演会

「自動車運転について」

講師:澤田辰徳先生 作業療法士

イムス板橋リハビリテーション病院

 

 Insight特別講演会の第2回は、イムス板橋リハビリテーション病院の澤田辰徳先生をお呼びして、脳血管障害を呈した方に対する自動車運転の支援についてお話していただきました。患者さんの多くに自動車運転のニーズがありますが、どのようにして支援していけばよいのか迷うことが多々あります。今回の勉強会の前半では、一定の病気に罹った方々が自動車運転を再開する際の法規制から自動車運転に必要な技能といった基礎的な知識を知ることができました。患者さんやその家族、他職種と連携していくためには、基礎的な知識を押さえておくことが大事です。患者さんとの面接の際に、自動車運転の再開に必要な基本的な事柄を説明することで、適性検査の履行率が向上するそうです。勉強会後半では、自動車運転の評価からエビデンスに基づいた介入、澤田先生が経験された症例を基にして、自動車運転の支援を進める上での実際の流れを知ることができました。病院の中での、面接から身体機能評価、机上での神経心理学的検査やシュミレーターでの運転評価は実車の評価の必要性を進めていくために重要です。さらに、実車の評価では、病院の中では見えない運転特有の問題点が明らかになってくるため、より重要性が増してきます。澤田先生の経験談でも、半側空間無視の方が運転中に混乱してしまうと、道路を逆走してしまうことがある、とお話しされており、これは実車評価をしてみないと明らかにならない部分でしょう。作業療法士は心身機能から高次脳機能までの知識を有しており、動作分析を得意とするため、自動車運転の支援には率先して関わっていくべき職種です。支援を進めていくうえで、病院の物理的な環境の制約によって、運転のシュミレーターがなかったり、教習所と関わりを持っていなかったりする病院があると思います。そのなかで、病院が自動車運転の支援(医師との連携、訓練の進め方、高次脳機能評価や実車評価の方法)を進めていくために、どのようにしてシステムを構築していけばよいのか、参加者にとって大きなヒントが得られたと思います。☜詳しくは写真はクリック!

平成27年10月7日開催
平成27年10月7日開催

高次脳機能障害 連続集中講義

第3回 「行為障害」

講師:井之川真紀先生 言語聴覚士

大阪府立大学大学院 総合リハビリテーション学研究科 臨床支援系領域

 

今回で第三回を迎える高次脳機能障害 連続集中講義も,引き続き言語聴覚士の井之川真紀先生をお招きし,「行為障害」についてご講義いただきました.

失行は100年以上前に提唱された定義および言葉が今現在も標準的に使用されています.また,各研究者により観念失行,観念運動失行,肢節運動失行など,現症の捉え方や考え方が異なる,定義がいまだに明確ではなく混沌としている,そのことから,現症に対し“失行”という言葉を使う場合は,誰が提唱し定義された言葉かを明確にする必要があります.

 臨床において現症や病態を捉えるために,“失行”という言葉を不用意に使用せず,単一道具の使用障害をさす“使用失行”(山鳥1994),動作の振り(パントマイム)の障害である“パントマイム失行”と呼ぶこと,また道具の使用障害については,道具への「到達・把持」,道具を実際に使用する「把持後の動作」など,動作・行為に係る各要素を分析して分けて考えることが大切であるとお話されました.☜詳しくは写真をクリック!

平成27年7月7日開催
平成27年7月7日開催

高次脳機能障害 連続集中講義

第2回 「注意障害」

講師:井之川真紀先生 言語聴覚士

大阪府立大学大学院 総合リハビリテーション学研究科 臨床支援系領域

 1回に引き続き,言語聴覚士の井之川真紀先生をお招きし「注意障害」について講義をしていただきました。講義前半は注意機能の基礎知識からデフォルトモードネットワークについて,講義後半には井之川先生が過去に担当された症例を提示していただき,注意障害に対する介入について知ることができたと思います。井之川先生も強調されていましたが,注意障害に対する介入で重要なことは,患者さんの周囲の環境を調整し,今ある注意機能でどうやったら生活が営めるかを考えることです。職場復帰を目指されていた症例に対して仕事量を半分にしたり,家人に仕事を手伝ってもらったりすることを提案することで,注意障害を克服することができていました。患者さんの生活を知り,生活のどこで困っているのかを知ることが,注意障害に対する介入を考える上での重要な糸口になるのではないでしょうか。☜詳しくは写真をクリック!


高次脳機能障害 連続集中講義

第1回 「高次脳機能を動態で考える~脳内ネットワークで考えるために~」

講師:井之川真紀先生 言語聴覚士

       大阪府立大学大学院 総合リハビリテーション学研究科 臨床支援系領域

平成27年4月23日開催

 今回、高次脳機能障害“集中講義”第一回目として,言語聴覚士の井之川真紀先生をお招きし、「高次脳機能を動態で捉える~脳内ネットワークで考えるために~」と題して講義をしていただきました。井ノ川先生は,「患者さんと出会った瞬間から評価が始まる」「全体像を把握できていないうちに標準化した検査を実施しない」「検査で重要なのは点数ではなく、そのプロセスである」などをお話しされており、どれも患者さんをみる上で基本的な作法であり、療法士3年目の方たちにとっては身につけておきたいものです。

 講義は、脳をマクロ的な視点で捉えて、高次脳機能の評価や介入につながる講義をしていただきました。脳のミクロ的な視点(局在)とマクロ的な視点(ネットワーク)を行ったり来たりしながら高次脳機能をみることで、障害で悩まれている患者さんの病態の理解につながると思います。

 明日からの臨床において高次脳機能障害で悩まれている患者さんをより興味をもってみることができると思います。それが患者さんを知ろう とする心構えにつながり、最終的にそれが患者さんにとって臨床的に有意な効果(利益)につながると思います。☜詳しくはタイトルをクリック!

平成27年2月1日開催
平成27年2月1日開催

第一回特別講演会

Occupational Based Practice  理論×実際」

講師:

友利幸之介先生 神奈川県立保健福祉大学 準教授 作業療法士

齋藤祐樹先生 郡山健康科学専門学校 専任教員 作業療法士

 初めに、友利幸之介先生に「リハビリテーションにおける目標設定 ADOCの紹介」と題して、OBPの理論についてご講演頂きました。作業療法はわかりにくい不確実なサービスであるからこそ、クライアントと作業療法士が一緒に目標を決めるshared decision makingが重要である、と説明されました。
  
次に、齋藤祐樹先生に「作業に焦点を当てた目標設定と実践」と題して、主に面接に焦点を当てOBPの具体的な実践についてご講演頂きました。面接は単なる情報収集ではなく、クライアントが作業療法のことを知る、協働関係を構築する、協働関係を基にクライアントのニーズを共有し共に目標・計画を立てることが面接の目的である、と具体例を挙げながら説明されました。 ☜
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平成26年12月9日開催
平成26年12月9日開催

第五回「脳卒中上肢麻痺に対する装具療法の実際

      ~装具が広げるあなたの治療の可能性~」

講師:工藤ゆかり先生 Pacific supply株式会社 技師装具師

はじめに、兵庫医科大学病院の竹林崇先生が「中等度〜重度の脳卒中後上肢麻痺に対する装具療法の考え方」についてご講義下さいました。続いて、工藤ゆかり先生にスプリント素材”オルフィット”のご紹介を頂きました。その後、実技研修として、工藤先生をはじめPacific supply株式会社の皆様にマンツーマンでご指導頂きながら、実際にCbar付属単対立装具を作成しました。皆さん熱心に、楽しそうに作成されていました。その様子を拝見しながら、患者様の役に立つモノ作りであるスプリント作成は作業療法士冥利に尽きる作業だ、としみじみ感じました。☜詳しくは写真をクリック!     

平成26年11月11日開催
平成26年11月11日開催

第四回 「呼吸に対する作業療法」

 講師:笹沼里味 伊丹恒生脳神経外科病院 作業療法士

 過去に笹沼が行った事例を通して,対象者様の状況や生活に合わせた細かい介入を具体的に紹介させて頂きました.たとえば,HOTをされている方の調理の時には,引火を予防するためにコンロから遠い方の肩にチューブを洗濯バサミで留める,などです.

 作業療法が呼吸器リハに関わる意義は,対象者様個々人の生活に細やかに介入することで,楽に安全に生活し自己管理できるよう支援し,不安感の軽減など心理的サポートをすることである,と強調しておりました.☜詳しくは写真をクリック!

平成26年8月27日開催
平成26年8月27日開催

第三回「課題指向型訓練と電気刺激療法の併用 理論と臨床応用

 講師:生野公貴先生 西大和リハビリテーション病院 理学療法士

 脳卒中後の機能回復には、訓練量・文脈・環境・集中型訓練・新奇性が重要です。その中でも特に訓練量について、現状のリハビリでは訓練量が圧倒的に足りないと指摘され、そこを電気治療が補完しうると話されました。また、生野先生ご自身も患者様と向き合いながらより良い治療法を模索しているところであり、決まったマニュアルはなく、患者様お一人お一人に合わせて評価・調整する必要があるとお話されました。脳卒中後の機能回復には、訓練量・文脈・環境・集中型訓練・新奇性が重要です。その中でも特に訓練量について、現状のリハビリでは訓練量が圧倒的に足りない(皮質の再構成には動作反復300回は必要だが、現状は40回止まり)と指摘され、そこを電気治療が補完しうると話されました。
ですが、電気治療だけをすればよいのではなく、電気治療はあくまで補完的使用であり、運動療法を組み合わせることの重要性をデータを挙げながら何度も強調されていました。
また、生野先生ご自身も患者様と向き合いながらよりよい治療法を模索しているところであり、決まったマニュアルのようなものはない、患者様お一人お一人に合わせて評価・調整しなければならないと繰り返しておられました。
具体的なお話としては、パルス幅と強度を変えることによる刺激される神経線維の変化、亜脱臼に対する電気治療の実例、「IVES」の各種モード、「IVES」と運動療法やミラーセラピー併用の実例、HANDS療法などをご説明下さいました。

後半は小グループに分かれて「IVES」の治療体験を皆さんで行いました。どちらかというと患者役の方が自分の手指が電気刺激によって動くと歓声が上がっていたようで、興味を持って体験されているように感じました。

脳卒中後の機能回復には、訓練量・文脈・環境・集中型訓練・新奇性が重要です。その中でも特に訓練量について、現状のリハビリでは訓練量が圧倒的に足りない(皮質の再構成には動作反復300回は必要だが、現状は40回止まり)と指摘され、そこを電気治療が補完しうると話されました。
ですが、電気治療だけをすればよいのではなく、電気治療はあくまで補完的使用であり、運動療法を組み合わせることの重要性をデータを挙げながら何度も強調されていました。
また、生野先生ご自身も患者様と向き合いながらよりよい治療法を模索しているところであり、決まったマニュアルのようなものはない、患者様お一人お一人に合わせて評価・調整しなければならないと繰り返しておられました。
具体的なお話としては、パルス幅と強度を変えることによる刺激される神経線維の変化、亜脱臼に対する電気治療の実例、「IVES」の各種モード、「IVES」と運動療法やミラーセラピー併用の実例、HANDS療法などをご説明下さいました。

後半は小グループに分かれて「IVES」の治療体験を皆さんで行いました。どちらかというと患者役の方が自分の手指が電気刺激によって動くと歓声が上がっていたようで、興味を持って体験されているように感じました。脳卒中後の機能回復には、訓練量・文脈・環境・集中型訓練・新奇性が重要です。その中でも特に訓練量について、現状のリハビリでは訓練量が圧倒的に足りない(皮質の再構成には動作反復300回は必要だが、現状は40回止まり)と指摘され、そこを電気治療が補完しうると話されました。
ですが、電気治療だけをすればよいのではなく、電気治療はあくまで補完的使用であり、運動療法を組み合わせることの重要性をデータを挙げながら何度も強調されていました。
また、生野先生ご自身も患者様と向き合いながらよりよい治療法を模索しているところであり、決まったマニュアルのようなものはない、患者様お一人お一人に合わせて評価・調整しなければならないと繰り返しておられました。
具体的なお話としては、パルス幅と強度を変えることによる刺激される神経線維の変化、亜脱臼に対する電気治療の実例、「IVES」の各種モード、「IVES」と運動療法やミラーセラピー併用の実例、HANDS療法などをご説明下さいました。

後半は小グループに分かれて「IVES」の治療体験を皆さんで行いました。どちらかというと患者役の方が自分の手指が電気刺激によって動くと歓声が上がっていたようで、興味を持って体験されているように感じました。☜詳しくは写真をクリック!

 

 

平成26年6月24日開催
平成26年6月24日開催

第二回「認知症の臨床的理解」

 講師:田中寛之先生 医療法人晴風園 今井病院 作業療法士

 認知症の方の言動を理解・解釈するにあたり、「認知機能障害」「BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)」「生活障害」をキーワードに三次元的に評価する重要性、パーソンセンタードケアを基本とし、認知症の方の言動を詳細に分析し、個々の状況に合わせた介入をすることの重要性とその方法を具体的にお話下さいました。

詳しくは写真をクリック!重要性を話されました。
 BPSDに対しては「行為」「頻度」「協力」さらに環境を含めて分析し、介入方法を決定する、という評価から介入に至る考え方を詳しく説明頂きました。
 生活障害に対しては問題となっている行為の工程を分析し、どの段階でどのような介入をすればよいかを症例の具体例を交えて説明頂きました。
 また、認知機能検査について、万能な検査法というものはない、と強く語られたあとで、一般的検査であるMMSEHDS-R、軽度認知障害に鋭敏なMOCA、さらにご自身が日本に導入された重度認知障害を検査するSCIRSをご紹介頂きました。次元的に評価する重要性を話されました。
 BPSDに対しては「行為」「頻度」「協力」さらに環境を含めて分析し、介入方法を決定する、という評価から介入に至る考え方を詳しく説明頂きました。
 生活障害に対しては問題となっている行為の工程を分析し、どの段階でどのような介入をすればよいかを症例の具体例を交えて説明頂きました。
 また、認知機能検査について、万能な検査法というものはない、と強く語られたあとで、一般的検査であるMMSEHDS-R、軽度認知障害に鋭敏なMOCA、さらにご自身が日本に導入された重度認知障害を検査するSCIRSをご紹介頂きました。次元的に評価する重要性を話されました。
 BPSDに対しては「行為」「頻度」「協力」さらに環境を含めて分析し、介入方法を決定する、という評価から介入に至る考え方を詳しく説明頂きました。
 生活障害に対しては問題となっている行為の工程を分析し、どの段階でどのような介入をすればよいかを症例の具体例を交えて説明頂きました。
 また、認知機能検査について、万能な検査法というものはない、と強く語られたあとで、一般的検査であるMMSEHDS-R、軽度認知障害に鋭敏なMOCA、さらにご自身が日本に導入された重度認知障害を検査するSCIRSをご紹介頂きました。

 認知症の勉強会というと感傷的・物語的な内容が多いなか、田中先生はパーソンセンタードケアを基本とすることは当然のこととして、その上で認知症の方の言動を詳細に分析し、個々の状況に合わせた介入をすることの重要性とその方法を具体的にお話下さいました。

性を話されました。
 BPSDに対しては「行為」「頻度」「協力」さらに環境を含めて分析し、介入方法を決定する、という評価から介入に至る考え方を詳しく説明頂きました。
 生活障害に対しては問題となっている行為の工程を分析し、どの段階でどのような介入をすればよいかを症例の具体例を交えて説明頂きました。
 また、認知機能検査について、万能な検査法というものはない、と強く語られたあとで、一般的検査であるMMSEHDS-R、軽度認知障害に鋭敏なMOCA、さらにご自身が日本に導入された重度認知障害を検査するSCIRSをご紹介頂きました。次元的に評価する重要性を話されました。
 BPSDに対しては「行為」「頻度」「協力」さらに環境を含めて分析し、介入方法を決定する、という評価から介入に至る考え方を詳しく説明頂きました。
 生活障害に対しては問題となっている行為の工程を分析し、どの段階でどのような介入をすればよいかを症例の具体例を交えて説明頂きました。
 また、認知機能検査について、万能な検査法というものはない、と強く語られたあとで、一般的検査であるMMSEHDS-R、軽度認知障害に鋭敏なMOCA、さらにご自身が日本に導入された重度認知障害を検査するSCIRSをご紹介頂きました。次元的に評価する重要性を話されました。
 BPSDに対しては「行為」「頻度」「協力」さらに環境を含めて分析し、介入方法を決定する、という評価から介入に至る考え方を詳しく説明頂きました。
 生活障害に対しては問題となっている行為の工程を分析し、どの段階でどのような介入をすればよいかを症例の具体例を交えて説明頂きました。
 また、認知機能検査について、万能な検査法というものはない、と強く語られたあとで、一般的検査であるMMSEHDS-R、軽度認知障害に鋭敏なMOCA、さらにご自身が日本に導入された重度認知障害を検査するSCIRSをご紹介頂きました。

 認知症の勉強会というと感傷的・物語的な内容が多いなか、田中先生はパーソンセンタードケアを基本とすることは当然のこととして、その上で認知症の方の言動を詳細に分析し、個々の状況に合わせた介入をすることの重要性とその方法を具体的にお話下さい

平成26年4月22日開催 
平成26年4月22日開催 

講義の内容としては、この会のコンセプトでもあるように「新人さんの明日からの臨床第一回「上肢訓練における意思決定と報酬」

講師:竹林崇先生  兵庫医科大学病院  作業療法士

 講義の内容としては、この会のコンセプトでもあるように「新人さんの明日からの臨床実践と理論・モデル」を結びつけるという趣旨の通り、行動変容によってもたらされる脳の可塑性、行動を変えること=学習、学習に必要なエッセンス=報酬、報酬の意義、課題の持つ報酬的側面、訓練における報酬の提供の仕方(課題の文脈およびinteractionの種類)などを丁寧にお話されました。

☜詳しくは写真をクリック!とくに、機能志向型訓練(課題特異型訓練)と課題志向型訓練における各課題(作業)がもつ文脈と療法士と対象者の関わり(interaction)が、強化学習における行動学習に働きかけるのか?それとも状態学習に働きかけるのか、その辺を意識しながらのinteractionは明日の臨床からもすぐに使える方法論だったと感じます。